
親の介護で紙パンツを使い始めたいのに、
- 何度すすめても履いてくれない
- 履いても、気づくと脱いでしまっている
- 尿とりパッドを外して、服や布団が濡れてしまう
- つい強い口調になり、あとで自分を責めてしまう
このような悩みを抱えているご家族は少なくありません。
介護の場面では、紙パンツをめぐって本人と家族の気持ちがすれ違うことがあります。介護する側は「転ばないように」「漏れないように」と考え、本人は「まだ自分でできる」「何を履かされるのか分からない」と感じているかもしれません。
私はこれまで、介護の現場や施設運営に携わる中で、紙パンツを嫌がる本人と、どう声をかければよいか悩むご家族を多く見てきました。
この記事では、紙パンツを嫌がる理由を考えながら、家庭で試しやすい対応を紹介します。
先に結論:説得する前に「なぜ嫌なのか」を探す
紙パンツを嫌がるときは、まず次の順番で考えてみてください。
嫌がる・外す
↓
理由を一つに決めつけず観察する
↓
声かけ・用品・タイミングを一つだけ変える
↓
様子を記録し、難しければ専門職へ相談する
「履いてください」と説得を続けるよりも、本人が嫌がる理由に合わせて環境を少し変える方が、落ち着いて受け入れられることがあります。
紙パンツを嫌がる主な理由と最初の対応
「嫌がる」という同じ行動でも、理由が違えば対応も変わります。
| 本人の様子 | 考えられる理由 | 最初に試したいこと |
|---|---|---|
| 「まだ必要ない」と怒る | 恥ずかしさ、プライド、必要性を感じていない | 否定せず、本人が受け入れやすい呼び方や方法を考える |
| 履いてもすぐ脱ぐ | ごわつき、蒸れ、締めつけ、サイズの不一致 | 薄型やサイズ、パッドの当たり方を確認する |
| 濡れたあとに外す | 濡れた不快感、交換のタイミング | 濡れやすい時間帯を把握し、交換方法を見直す |
| 何のためか分からず外す | 説明を忘れる、認知機能の変化 | 長い説明より、短い声かけと環境づくりを試す |
| かゆがる、肌が赤い | 蒸れ、こすれ、皮膚トラブル | 皮膚を確認し、症状があれば専門職へ相談する |
家庭で試しやすい5つの対応
1. 「おむつ」と一括りにせず、本人が受け止めやすい言葉を選ぶ
長年、自分でトイレに行ってきた方にとって、紙パンツを使うことは大きな変化です。「もうおむつでいいでしょ」と言われると、自分の尊厳を否定されたように感じることがあります。
「新しい下着」「薄いパンツ」など、本人が受け止めやすい言葉で伝えてみてください。ただし、本人をだますことが目的ではありません。本人の気持ちを尊重しながら、抵抗感を減らすための言葉を一緒に探すことが大切です。
2. 本人に選んでもらう
家族が一方的に決めるのではなく、可能なら本人に選んでもらいます。
- こちらとこちらなら、どちらがよさそう?
- 薄いタイプと、安心感のあるタイプならどちらがいい?
- 今から替えるか、入浴後に替えるか、どちらがいい?
「履かされる」から「自分で選んだ」に変わるだけで、受け入れやすさが変わる場合があります。選択肢は多すぎると迷うため、2つ程度に絞るのがおすすめです。
3. 薄型や布下着との併用から始める
最初から厚みのあるタイプを使うと、見た目や感触に抵抗を感じる方もいます。
状態に合わせて、次のように段階を考えてみます。
| 段階 | 試す方法 | 確認すること |
|---|---|---|
| 1 | 布下着に少量の尿とりパッド | ずれ、蒸れ、肌への刺激がないか |
| 2 | 下着に近い薄型の紙パンツ | ごわつきや締めつけがないか |
| 3 | 吸収量の違うタイプを比較 | 本人の生活時間や排泄量に合っているか |
体格や排泄の状態によって合う用品は異なります。漏れが続く場合は、単純に大きいサイズに替えるのではなく、サイズ・形・パッドの組み合わせを専門職や販売員に相談しましょう。

4. すすめるタイミングを変える
失敗した直後や、家族が慌てているときは、本人も気持ちに余裕がありません。その場で強くすすめると、反発が強くなることがあります。
- 入浴後の着替えの時間
- 本人が落ち着いている時間
- 外出など、本人も必要性を感じやすい予定の前
など、話しやすいタイミングを選んでみてください。
5. 外す時間や状況を記録する
外す行動を「いつも」「わざと」と決めつけず、数日から1週間ほど、分かる範囲で記録します。
| 記録すること | 例 |
|---|---|
| 時間 | 起床後、夕食後、夜間など |
| 直前の様子 | トイレに行きたがった、落ち着かなかったなど |
| 紙パンツの状態 | 濡れていた、乾いていた、ずれていたなど |
| 肌の状態 | 赤み、かゆみ、痛みの訴えなど |
| そのときの対応 | 声かけ、交換、用品変更など |
記録すると、「夜間だけ外す」「濡れたあとに外す」などの傾向が見えることがあります。傾向が分かれば、交換の時間や用品、声かけを見直しやすくなります。

認知症の症状がある場合に意識したいこと
認知機能の変化がある方は、説明して納得してもらう方法が毎回うまくいくとは限りません。本人からすると、「濡れていないのに、よく分からないものを履かされる」と感じている可能性もあります。
意識したいのは、次の3つです。
- 正論で追い込まない
- 外す行動を、本人からのサインとして見る
- 家族だけで抱えず、記録を専門職と共有する
「濡れるから履いて」「昨日も失敗したでしょう」と繰り返すより、短い言葉で安心できる雰囲気をつくる方がよい場合があります。
ただし、急に行動が変わったときは、認知症だけが原因とは限りません。痛み、かゆみ、排尿の変化、体調不良などが隠れている可能性もあります。
家族がやりがちな4つの失敗
1. 本人に断りなく、布下着を全部処分する
急にすべてを紙パンツへ替えると、本人の反発が強くなることがあります。可能であれば、本人と相談しながら少しずつ試す余地を残しましょう。
2. 履いてくれたことで、交換を減らす
紙パンツを履いていても、濡れたまま長時間過ごすと不快感や皮膚トラブルにつながることがあります。交換のタイミングは、本人の状態に合わせて確認してください。
3. 失敗のたびに注意する
注意を繰り返すと、本人が失敗を隠したり、相談しづらくなったりすることがあります。まずは安全に着替えられること、本人が落ち着けることを優先します。
4. 家族だけで解決しようとする
家族の声かけでは難しくても、ケアマネジャー、看護師、かかりつけ医、地域包括支援センターなどに相談すると、別の方法が見つかることがあります。
こんなときは早めに専門職へ相談してください
次のような場合は、紙パンツの好き嫌いだけの問題と決めつけないことが大切です。
- 紙パンツを外す行動が急に増えた
- 皮膚に赤み、ただれ、出血、強いかゆみがある
- 排尿の回数、量、におい、痛みなどに急な変化がある
- 発熱、元気がない、いつもより混乱しているなどの変化がある
- 家族の負担や気持ちが限界に近づいている
体調の判断や治療が必要な場合は、医療職へ相談してください。介護サービスの調整は、ケアマネジャーや地域包括支援センターに相談できます。
うまくいかない日があっても、自分を責めないでください
紙パンツをめぐるやり取りで、つい声を荒げてしまう日もあると思います。介護する側も疲れ、不安になり、余裕を失うことがあります。
大切なのは、毎回完璧に対応することではありません。今日は難しかったとしても、別の時間帯に試す、用品を見直す、誰かに相談するという小さな変更で十分です。
介護は、家族だけで頑張り続けるものではありません。頼れる人や専門職を見つけることも、本人の生活を守る大切な介護です。
まとめ:本人の尊厳を守りながら、少しずつ試す
紙パンツを嫌がる、外してしまうときは、次の5点を思い出してください。
- 嫌がる理由を一つに決めつけず、まず観察する
- 本人が受け止めやすい言葉とタイミングを選ぶ
- 本人に選んでもらい、薄型や併用から段階的に試す
- 外す時間や状況を記録し、対応を見直す
- 急な変化や家族の負担は、早めに専門職へ相談する
「履かせること」だけを目標にすると、本人との関係が苦しくなることがあります。本人の誇りや不快感にも目を向けながら、家族にとって続けられる方法を探していきましょう。

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